メルラバ

『うーん…無理やねん』
「だって、私なんかただの一般人だよ?」


『なに言うてんの。売れっ子作家さんやん。芸能人同士よりも、むしろ、芸人と作家っていうほうが人の興味もそそるし』

そんなもんかと思う。

私はまだわかっていなかった。

秋の次の言葉を聞くまで、いかに重大な問題であるかを。


『せやから、しばらくは会われへん。唯も…せやな、1ヶ月くらい?
ほとぼりが冷めるまで部屋から出られへんで?』

「なんで?」

『なんでってお前…たぶんレポーターが唯んちに押し寄せるで?』

「なんで?そんなの近所迷惑だし人権侵害だよ?」

一向に理解を示さない私に、秋が電話の向こうで深い溜息をついた。