メルラバ

『もしもーし。唯ちゃんですかー?ユージンです』

「ジンちゃ…」


ほんわかした可愛らしい声に、緊張の糸がプツリと切れて、堪えていた涙があとからあとから滝のように流れだした。


『アキトさんに聞きましたよ。原稿って再来月発売の雑誌のやつでしょう?

ぼく、とーっても楽しみにしてるんです、続き。

あの雑誌、女の子向けで買うの超恥ずかしいんですけど、唯ちゃんの小説読みたいから恥ずかしいけど、堂々とレジに持っていくことにしてるんです。

だって恥ずかしがったら、唯ちゃんに失礼だもんね。

だからぁー、ぼくのためにも原稿書いて下さい』


ひとりの読者であるジンちゃんの言葉が、本当に本当に嬉しい。


秋が私にかけてくれた言葉よりも、絶対的な力があって、だから秋はジンちゃんに代わったんだろう。