メルラバ

その時、チリリリンと鈴が鳴り「何かあったら言って下さいね」と心配顔のまま店員さんが入口へと走って行った。

ふわりと温かいおしぼりを目に当てると、少し気分が落ち着いた。


「唯?」

突然名前を呼ばれてギクリとする。

おしぼりを目に当てたまま、そろそろと視線を下げると、黒い革靴が見えた。

その上には黒いジーンズの裾。

聞き覚えのない声。

その声が私を『唯』と呼んでいる。