名門高に通い始めて、数週間後。

騒がしくも、なかなか充実した、時を過ごしていた。

「・・・にしても。」

あの時の気持ち。

そう、数週間前に感じた

瞬への気持ちの正体がわからずにいた。

「なんなのよ、もう。調子、狂わせられてばっかりだわ・・。」

そんなことを呟きながら、

慣れた通学路を歩く。

「はぁ・・・。あたし、どうしちゃったの?こんなの初めて。」

男子のことで、こんなに考えこんだのも、

顔が熱くなったのも、

初めて。

あたしには珍しく、

あまり前向きに考えることができなかった。

むしろ、気になってしょうがない感じ。

「やだやだ。忘れよう。・・・あっ・・!」

「ん?・・あれ、あんりじゃん。お前もここ、通って登校してんの?」

「う、うん。瞬も?」

「そうだけど?一緒に行こーぜ。」

「ま、待ってよっ!」

・・・なんて、タイミングが悪いの?

瞬のこと、忘れようとしてるときに、

会わなくたっていいじゃない!

・・でも、なんか、少し嬉しいかも・・・?

「そんな、手伸ばさなくても、待ってるって。」

「・・もう、いいわよ・・・。」

少し拗ねた様に言ってみる。

瞬は、悪い悪いと謝ってから、

自然な様子であたしの手を握った。

「ちょっ・・!手っ・・・!」

「いいだろ?誰が見てるわけでもないんだし。」

・・・それは、そうだけど・・。

「そ、そうゆうことじゃなくてっ//」

「俺と、手繋ぐの嫌か?」

「っ・・!も、もう、好きにすればいいじゃないっ//」

「んじゃあこのまま行くぞ。」

・・なんで、嫌だって言えなかったの?

前のあたしなら、

きっと振り払ってたはずなのに・・・。

ただ、今のあたしにわかるのは、

あたしの中で、

何かが少しずつ

変わってるってことだけだった。