もう君には恋はしない

それから、

あたしが目を覚ますと・・・。

目の前に、焦点のあわない瞬の・・・。

瞬の顔?

「うわっ!」

あたしは驚いて、身体をおこした。

「あんりっ!大丈夫かっ?」

「きゃっ!瞬っ?」

あまりの瞬の大声に、

驚いて身を引いてしまう。

「倉狩野さん?身体は・・・、どんな感じ?」

「ちょっと頭が痛いです。」

「んー。熱はなさそうね。さっき劉蟻君が触ったときは、熱かったんだけど・・・。」

「そ、そうですか。」

「頑張りすぎなのと、軽い貧血ね。」

「ひ、貧血?」

「細いし、華奢な感じでしょ?だから。」

「そ、そうですかねぇ・・・?」

あたしは自分の身体を見回す。

確かに、少し痩せているかもしれない。

なんでかしら?

「彼氏さんを、心配させちゃ、ダメよ?」

「せ、先生っ?」

なんてことを言い出すんだ、この先生は。

てか、なんで知ってんの?

あたし達が、つき合ってること。

「しばらくは、安静にね。劉蟻君は・・・どうする?」

「俺もここにいます。」

「わかりました。先生は、外にいないといけないから。何かあったら呼んでね。」

「はい。」

瞬は当然のように返事をした。

がちゃり、とドアの閉まる音がしてから、

瞬はあたしに近づいてきた。

「・・・平気か?」

「う、うん。大丈夫。」

あたしは瞬の目を見て、

少しだけ笑った。

その瞬間、

はぁ・・・。

と安心したように、

瞬が息を吐いたのがわかった。