もう君には恋はしない

「ちょっ!な、なにしてるの!」

「だってこの子、さっきからずっと俯いてるんだもん。」

「だ、だからって・・・。」

・・そんなに強引にしなくても・・・。

男子はこれだから、困るのよ。

明るくていい子だけど、もうちょっとやり方を考えてあげないと。

あたしが注意しようとした、そのとき。

「おい、やめてやれって、桐。」

瞬が、桐と優衣の間にはいった。

「悪いな、飛鳥。困っただろ。」

・・優衣のことは、苗字で呼ぶんだ・・・。

なんで、あたしだけ、名前呼びだったのかしら?

「だ、大丈夫ですっ。」

あたしがそんなことを考えている間に、

優衣はあたしの前にでて、顔を上げていた。

「私は、飛鳥優衣といいます。よろしくお願いしますっ。」

と自己紹介して、

ぺこり、と頭を下げた。

「ふぅー!清楚系っ。よろしく優衣ちゃん。」

桐は、優衣のことを気に入ったのか、

2人で先にいってしまった。

・・くわしく言えば、優衣の手を桐が強引につかんで、

そのまま引っ張って行ってしまった。

「飛鳥と桐、なんか仲いいな。」

「んー。なんでだろ。2人共、初対面なはずなのに。」

あたしが考えこんでいると。

「桐は、清楚な感じの女子が好きなんだ。」

「そうなの。」

・・そうゆうことね。

好きな子と、一緒にいたいっていうやつか。

・・・あたしには、全然わかんないや。

「俺はさ、あんりみたいなのが、タイプだから//」

「えっ・・?」

「2人で行くか。んじゃ、霧弥おさきっ!」

瞬は、あたしの手を握って、走りだした。

・・な、なにこのドキドキはっ。

こんなこと、今までなかったのに・・・。

瞬が触れている手も、顔も。なんだか熱い。

「どうした?」

「べ、別にっ//」

あたしは恥ずかしくて、顔をそらした。

それから、体育館に着いても、

用事を済ませて家に帰っても、

顔のほてりが消えることはなかった。

「なんなのよ、もうっ//」

これが、初めて気づいた君への気持ち・・・?