もう君には恋はしない

〔瞬side〕

「おいっ!あんりっ!」

いきなり俺の腕に、

倒れこんだあんり。

額を触ると、びっくりするくらい、

熱かった。

「ずっと我慢してたのか・・・?」

今日は朝から、

なんとなく様子がおかしかったから。

「姫椿先輩。とりあえず、保健室に連れて行きます。」

「そうしてください。あんりさん、きっと無理されてたんでしょう?」

「多分、そうだと思います。」

俺はすばやくあんりを抱きかかえて、

保健室に向かった。

抱きこんだ腕が、いつもよりも

細くて。

きっと1週間ずっと、

疲れを溜め込んだんだろう。

「失礼しますっ。」

ガラガラっとドアを開けて、

保健室に入る。

「あら、生徒会の・・・。」

「劉蟻瞬です。こいつ、倒れちゃったんで、ベッドかしてもらえますか?」

「く、倉狩野さんじゃないっ!早く、このベッドに。」

「はい。」

言われたベッドに、

ゆっくりとあんりの身体をおろす。

「・・・ん・・?」

「あんり・・?」

その衝撃で、あんりは少しだけ、

目を覚ました。

「おいっ!大丈夫かっ?」

俺は、あんりの顔をのぞきこんで、

声をかける。

こんなよわよわしいあんりを見たのは、

初めてだ。

いつもだって充分細いのに、

もっと痩せて見える。

なんでもっと早く、

気づいてやれなかったんだろうか・・・?

〔瞬side.end〕