もう君には恋はしない

あたしは、チラッと隣を横目で見て、声をかけた。

「はじめまして。」

あたしがいきなり話しかけたのもあったのか、

隣の男子は少し驚いたような顔をした。

「よう、お前が噂の女子生徒?」

「噂になってるのは知らないけど、高校からここに入ったの。」

「やっぱり。・・にしても、お前可愛いな。」

・・・へ?今この人、「可愛いな」って言った?

初対面の人に、普通そんなこと言う?

「ちょ、初対面の人にそんなこと言う?」

「初対面でもなんでも、可愛いもんは変わんないだろ。」

・・・な、何この人・・・。

ナンパでもするつもりかしら・・?

「ありがと。あたし、倉狩野あんり。あなたは?」

「俺は、劉蟻瞬。よろしく。あんり。」

い、いきなり名前呼び・・・?

それに、この人の苗字、名札見ただけじゃ全然わかんないわ・・・。

あの漢字で、「りゅうぎ」って読むの・・?

あたしが、少し困っていると、タイミングがいいのか悪いのか。

担任の先生が入ってきた。

「おはようございます。これから、体育館に移動してもらい、ネックレスをもらってください。もらった人は、帰ってもらっても結構ですし、学校に残っもらってもいいですから。」

・・・ネックレス・・?

何かしら、それ。まぁ、行ってみれば、わかるかな。

「優衣、行こ?」

あたしはすぐに、前にいる優衣に声をかけた。

「はい。そうですね。」

あたしが優衣と教室を出ようとすると、後ろから誰かに声をかけられた。

「あたしも、一緒に行っていー?」

美希だ。

「もちろん。」

あたしは、ニコっと笑いかけた。

すると、その後ろから・・・。

「あんり、俺達も、一緒に行っていいか?」

瞬と、その友達だった。