「きかないほうがよかった、なんて後悔してもしらないよ?」

「絶対しないってっ!ねっ?」

「わ、わかったわよ・・・。」

あたしは

静かに話し始めた。

これは、

あたしがまだ中学生だった時の話。

告白されて

初めてつき合った男の子がいたの。

すごく優しくて

いい子だったんだけど

その子との恋愛は

結構あっけなく終わった。

その男の子は

死んじゃったんだ。

学校帰りに

事故にあって。

そのことを知った日。

その夜。

あたしは

大声で泣いた。

すごく大切にしてくれたのに

こんなにどうしようもない

別れを迎えることになるなんて

思いもしなかったから。

悔しくて

悔しくて。

なんでこんなことになっちゃったの?

って。

ずっと泣いたのを覚えている。

だから

その日から

あたしは恋をしないと決めた。

誰ももう

好きになれないと思ったからね。

「って、話。どう?後悔したでしょ。」

「そんなこと・・ない。ごめんね。話させて。」

「いいって。もう、大丈夫だから。」

瞬がいるから

大丈夫。

って、思うの。

もう本当に

誰も好きになれないと

思ったのに。

瞬だけは

自然と好きになってた

自分が自覚するよりも先に。

「に、しても。・・・ホントごめん。」

「いいってば。そんなに謝らないでよ。」

そう言って

あたしが顔を上げると。

そこには、

泣き顔の美希と優衣の姿があった。

「な、何泣いてんのっ?」

「だって、だって・・・。」

「だって、何よ?」

「あたしだったら、めちゃくちゃ辛いもん。だから。」

「もう、2年くらい前のことだよ?」

「あたしなら、きっとまだ話せないと思うから。あんりは強いよ」

「強くないって。」

もう大丈夫じゃない。

あたしは、

もう昔のあたしじゃないんだわ。

今まで、

話したら泣いちゃいそうだったから

人に話したことなんてなかったけど。

もう引きずることなんて、

ないわ。

「ほーらっ!泣いてないで。もう寝よう?」

「うん・・・。そうする。優衣もいい?」

「はい。あんりちゃん、最後にちょっといいですか?」

「ん?何?」

「私達に話してくれて、ありがとう。」

「いいよ。あたしもありがと。」

「なんで、あんりちゃんが?」

「秘密ー。ねよねよ。」

あたしは、思った。

『話きいてくれて、ありがとう』

と。
「えーっ?なんなんですかー?」

「気にしなくていーの。」

「もー・・。」

優衣があきらめたのを見て、

布団に入った。

こうして、

あたし達ガールズの一夜は

過ぎていった。

〔あんりside.end〕