女子の部屋にて・・・。

〔あんりside〕

「あんりーっ!ねぇねぇ。」

「ん・・・?何よ・・。」

「瞬のどこが好きなのっ?」

「ぶっ!」

あたしは、

うとうとしながら飲んでいた

お茶をふいた。

「い、いきなり何きくのよっ!」

「だってー。話してくれるって言ったじゃん。」

「びっくりさせないでよっ!」

「ゴメンゴメン。んで、どこが好きなの?」

「んー・・。そうねぇ・・。」

あたしは少し目を閉じて、

考えた。

瞬の好きなとこ・・・。

そうね、

優しいところとか、

かっこいいところとか。

鋭くて、

何でも気づいてくれるところとか。

でもたまに鈍感なところとか。

あたしを安心させてくれるところとか、

あったかくて大きい手とか、

優しい笑顔とか。

いろんなことが、

頭をめぐる。

「優しいところ・・・かな//」

「へぇー。あんり、顔に“大好き”って書いてあるよ。」

「嘘っ!?」

あたしは慌てて、

ぺたぺたと顔を手で触った。

「嘘だよ。あんまりにのろけるから、からかっただけ。」

「もーっ。優衣ー。美希がぁー・・。」

「あんまりあんりちゃんをいじめちゃ、だめですよ?」

「別に、いじめてないしー。」

「そうですか?」

にこり、と

あたし達に笑いかける優衣。

現代には少ないであろう、

純情で、

すごく礼儀正しくて。

誰だって、

吸い込まれてしまいそうな

笑顔をする優衣。

「ねー。優衣はさぁ。桐のどこが好き?」

「桐君の・・・ですか?」

優衣も、

あたしのように少しだけ

考え始めた。

少しして、

優衣は

「私のことを、気づかってくれるところですかね//」

と答えを出した。

「どうゆうこと?」

「私、もともと男の子って少し苦手で。だから。」

「桐のことは、平気なの?」

「はい。桐君は、私に恋を教えてくれましたから//」

と、

優衣は恥ずかしそうに微笑む。

・・・あたしと、おんなじだ。

瞬も、あたしに“恋”を教えてくれた。

楽しいことも、

もやもやした思いも。

全部教えてくれたわ。

「あたしも、それわかるなぁ・・・。」

気づいたら、

そう口にしていた。

「あんりもなんかあったの・・?」

「別にぃ・・。昔の話だよ。」

「・・・きかせてくれない?」

「えー・・。」

あたしは少し考えた。

あんまり、

人に話したくないことだったから。

昔のことなんて、

別に思い出したくないわ。

「あんりちゃん。私からも、お願いします。」

「わかったよ・・。」

あたしはゆっくりと口を開いた。

ここまでいうなら、

話してもいいかしら、

なんて。

思ってしまったあたしがいるから。