「あいつさ、恋に臆病なんだよ、きっと。」

「は?ど、どゆこと?」

「あんなさ、よくわかんねーけど。最近俺に、やっと心許してくれたんだ。」

「・・・?何で、んなことわかんの?」

「だから、わかんねーって。なんとなく、そう思うから。」

「ふーん。」

桐は、

もう俺の顔は見なかった。

少しだけ目を逸らせて、

遠くを見つめていた。

「強がりなくせに、傷つきやすくて。目が離せなくなる。」

本当に、

あいつのことが愛しく思う。

まだ、

あって1年も

経っていないはずなのに、

あいつのことが、

心配でしかたない。

きっと、

あんりは気づいてないだろうけど、

時折見せる切ない表情が、

頭に残ってしょうがない。

「・・そっか。ベタぼれなんだ。」

「お前だって。」

「確かに。でもさ、お互いいい子見つけたよね。」

「俺も、そう思う。」

顔を見合わせて、

2人で同時に、

苦笑いする。

「でる?」

「おう。そうするか。」

久しぶりに桐とこうして、

2人で話したけど。

俺達は、

案外似ているのかもしれない。

「拭いた?部屋、戻ろうよ。」

「何、俺に気ぃつかってんの?」

「つかってないし。でも・・・。」

「でも?」

「なんか似てるよな、俺達。」

・・・なんだ、

こいつもおんなじこと

考えてたんだ。

ホントに、似てるんだな・・・〔笑〕

「部屋、もどろーぜ。」

「はいはい。」

「よかったら夜、話つきあうけど?」

「お前が話したいだけだろっ!」

「そんなことねーし。」

俺は、

ふぃっと前を向いて、

歩き出した。

まぁ、

たまにはこんなのもいいかもな。

「瞬ーっ!どうしたんだよ?」

「別に、なんでもねー〔笑〕」

「なんでもなくないだろっ!」

ぎゃーぎゃー隣で騒ぐ桐を、

軽く無視してから、

俺は部屋に入った。

・・・悪くないな。

〔瞬side.end〕