〔あんりside〕

「わーっ!ひろーい!」

「ホントですね。私達以外、人はいませんし。」

優衣の言うとうり、

お風呂場には、

あたし達以外誰もいない。

だからこそ、

こうやってはしゃげるんだけどね。

「ねぇねぇ、露天風呂行こーよっ!」

「ちょ、待ってくださいよー!あんりちゃんも行きましょう?」

「いいよ。行こ?」

いつもより、

テンションが2倍くらいある

美希を連れて、

あたしは露天風呂へと向かった。

「外だーっ!いい景色だよー!」

「ホントだっ!」

外は真っ暗で、

少しだけ涼しい風が吹いていた。

ぼんやりと点いているライトが、

なんだか少し、

ロマンチックに見える。

「いいね、ここ。」

「そうですね。」

湯に肩まで浸かり、

はふぅ・・・。

と3人で息を吐く。

「あんりちゃん。」

隣に座っていた優衣が、

あたしに声をかけた。

「ん・・・?何・・?」

「瞬君と、どうでした?」

「ど、どうって別に・・・//」

いきなりの質問に、

忘れていた光景が

頭によぎる。

恥ずかしくなって、

ぷいっと優衣から目を逸らした。

「何か、あったんですか?きかせてくださいよ。」

「嫌よ。恥ずかしいから//」

あんなことしてただなんて、

絶対に言えない。

だって、

あたし自分から・・・。

自分から、

瞬にキスしたなんて//

よく思い返せば、

自分から人にキスするなんて、

初めてだった。

「あんりー?なんかあったん?」

「な、何でっ?」

「顔、真っ赤だよ?キスでもやらかしたー?」

「う・・・//」

「嘘っ!?マジっ?」

こんな時ばっかり鋭い美希に、

思いっきり図星を当てられ、

あたしは黙り込んだ。

「優衣っ!あんり、瞬にさー!」

「ちょっ、美希!やめてってっ!」

「じゃあ、くわしく後で、話してくれる?」

「えー?それは・・・。」

「じゃあ、あたしが言っちゃおうかなー?」

イタズラっぽく

あたしに妖しい笑顔を見せて、

美希は優衣のほうへ

駆け寄っていく。

「わかったってばっ!」

「やったねっ!」

美希はくるっと振り返って、

すごく嬉しそうにしていた。

・・・なんで人の恋愛に、

こんなに興味があるのかしら・・?

あたしには、

よくわからない。

確かに女の子は、

恋愛トークが好きなのかもしれないけど、

ここまで好きな子は、

初めて会った。

「さて、でよっか。もうそろそろ暑いー。」

「そうですね。」

ざばっとあがって、

身体を拭く。

そうしてあたし達は、

お風呂場を後にした。

〔あんりside.end〕