それから、約1時間後。

あたし達は、海に来ていた。

ホテルに荷物を置いてから、

すぐにこの海へと来たのだ。

まぁ、皆が行きたいって騒いでたわけだし、

何よりあたしも行きたかったし。

「んじゃ、着替えたらまたここに集まるってことで。」

「うん。後でね。」

皆それぞれ自分の水着を持って、

更衣室に入っていく。

「あんりちゃん、行きましょう?」

「早く行こー。」

「うん。そだね。」

あたしは、

優衣と美希に背中を押されて

更衣室に入った。

「今日の水着、どんなのにしましたぁ?」

「あたしー?」

「あんりは可愛いから、何でも似合うでしょ?」

「そんなことないよ。」

そんなことを言いながら、

水着を着て、日焼け止めを塗る。

「やっぱ可愛いじゃんっ!どこで買ったんー?」

「家にあったやつだよ?」

「可愛いですね。よく似合ってます。」

「ありがと//」

あたしの水着は、

ピンクのリボンがついたやつ。

フリフリのレースが付いてて、

下はスカートのビキニになっている。

「優衣のも、美希のも可愛いじゃん。」

優衣のは白と水色の水玉で、

あたしのやつみたいに下はスカート。

一方美希のはオレンジっぽい感じで、

下は短いズボンみたいな感じ。

「行こっか。瞬達、待ってるよ。多分。」

「ですね。早く行きましょう。」

ビーチサンダルを履いて、

がちゃりとドアを開ける。

「おせーじゃん。早く行こーぜ。」

すぐにあたし達に話しかけてきたのは桐。

「行きましょうか、桐君。」

優衣は桐を連れて、

海のほうへ行ってしまった。

「しゅ、瞬?どうかしら?この水着。」

「か、かわ・・・。」

「ん?」

「可愛い//お前、似合うな//」

「あ、ありがと//しゅ、瞬もかっこいいわよ。」

「さんきゅ。俺達も泳ぎに行くか。」

「うん。」

きゅっとあたしの手を握って、

あたしを

引っ張って歩いて行く。

「あ、美希・・・。」

あたしが

ふと振り返ると・・・。

そこには

少しだけ寂しそうな

美希の姿があった。

あたしは

優衣のほうに駆け寄って、

美希のことを話した。

「あのさ、美希なんだけど・・・。」

「あ、忘れてました・・。」

「どうしようか・・・。」

「あたしが美希ちゃんを誘ってビーチバレーでもするんで。大丈夫ですよ。」

「ゴメン。ありがと。」

「あんりちゃんは、瞬君と楽しんできてください。」

なんて優しい子なのかしら、

優衣は。

こんなあたしにも、

気をつかってくれてる。

「あそこに、ちっちゃい洞窟があるんですけど・・・。」

「へぇー。そうなんだ。じゃあ、瞬誘って行ってくるよ。」

「そうしてください。頑張ってくださいね。」

「ありがと//」