もう君には恋はしない

「なんか、最近あっちーな。」

「うん。もうすぐ夏だもんね。」

「いつから夏服だっけ?」

「来週からよ。」

・・・と。

こんな感じで雑談をしながら

いつもの道を歩いていく。

「なあ、あんり。」

「ん?何よ。」

「手、かしてくんない?」

・・・手?

何、するつもりなのかしら・・・?

「い、いいわよ。」

あたしは隣を歩いている瞬に

手を差し出した。

すると。

瞬があたしの手を

ぎゅっと握ってきた。

・・・どうやら、

手が繋ぎたかっただけのようね。

でも・・・。

今日の繋ぎ方は、

なんかいつもと違う。

「さ、行くか。」

「う、うん。」

あたしの手は、

そのまま瞬に引っ張られていく。

なんか・・。

こうゆうのもいいかもね//

いつもは普通に繋ぐだけの手も、

今日はなんていうか・・・。

もっと強く

繋がってる感じ。

指と指がぎゅっと絡まってて、

いつもは少し冷たいあたしの手も。

なんだか、

瞬の手の体温と同じくらい温かいわ。

「今日さ、お前んち寄ってもいい?」

「別にいいわよ。何か用?」

「俺が、あんりと居たいだけ。一緒に宿題でもやんねぇ?」

「わ、わかったわ//」

・・・恥ずかしい奴っ!

こっちが照れちゃうわ。

あたし達なら、

宿題なんてすぐ終わっちゃうのに・・。

どうであっても、

あたしと一緒に居たいと思って

くれてるのかしら?

「・・・あんり?」

「な、なんでもない。入ろ。」

「そうだな。」

あたし達は、

もう何回も開けてきたドアをガラリ、と

一緒に開けた。

あたしは、

飛び込んできたいつもの風景に、

なぜか少しだけほっとした。

最近は、

びっくりすることばっかりだったからかも・・・。

しれないわね。