もう君には恋はしない

「嬉しいのよ。あんりが人に心を許せるようになったんだなって思って。」
     
・・・どうゆうこと?
   
ちょっと前に、

瞬もおんなじこと言ってた気がするわ。

「どうゆう意味?」

「別に、そのままの意味よ?」

「瞬も、前に同じこと言ってたの。あたし、なにも話してないのに。」

「じゃあ、きっとわかってたのね。」

「何に?」

「あんりが、昔の恋愛に傷ついてたことに。」

あたしは、

びっくりした。

母さんに、

そんなこと話した記憶が、

なかったから。

「な、なんで知ってるのっ!?」

「忘れたの?あんた、泣きながら帰って来てさ。どうしたのってきいたら、話しながらずっと悔しそうに泣いてて。」

「そ、それで?」

「最後に、もう恋なんかしないんだーってあたしの前で宣言してた。」

・・・びっくりするほど当たってる。

あの時のことは、

まだ覚えてるわ。

悔しくて、

すごく寂しくて。

こんなことになるなら、

もう恋愛なんかしないって、

夜まで泣いてたっけ。

「よかったね。あんり。おめでとう。」

「ありがと。母さん。」

「今度、あたしにも紹介してよ。あんりの心を許させるなんて、すごい子なんだから。」

「わかったわ。そのうちね。」