「あんり、変わってねーなぁ。」

「瞬だって、変わってないわよ。」

・・・と、こんな風にふつーにしゃべれるまで

約15分が必要だった。

「あんり、さんきゅうな。」

「・・・?なにが?」

「俺のこと、ずっと待っててくれたんだろ?」

「っ!?」

なんで知ってるの・・・?

あたし、1度もそんなこと言ってないのに・・・。

「なんでわかったのっ?」

「顔に書いてある。」

えーーっ?

そんなこと、ないわよ。絶対。

「なぁ、キスしてもいい?」

「っ・・。なんでそんなこときくのよ。」

「悪いっ・・。」

瞬の指が、あたしの顎に触れる。

ちょっとだけ上を向かせて、

唇に、唇で触れた。

2年ぶりのキス。

2年前は、ほぼ毎日のようにやっていたのに、

今になると、恥ずかしくてしかたない。

「恋、また嫌いになったか・・・?」

心配そうに、瞬がきいてくる。

「・・・なってないわよ。」

なってないけど。

でも。

あたしは・・・

“君以外とは、もう恋はしない”

そう、心の中で

呟いた。


〔end.〕