もう君には恋はしない

「瞬君が?どうして?」

「・・・サッカーの関係で・・・。」

「そう。それで?あんりはそのことを知ってたの?」

「・・知んなかった。今日知ったの。」

「瞬君は、優しいから。あんりを傷つけたくなかったのよ。わかるでしょ?」

「うん・・・。わかる・・・。」

わかってる、わかってるよ。

でも、

“なんで、言ってくれなかったの?”

って、思ってる、あたしもいる。

「言って欲しかった?」

「うん・・。相談して欲しかった。頼って欲しかったの・・・。」

あたしは、瞬からいろんなものをもらって

すごくすごく大切なものをもらってて。

なのに、

あたしは何も・・・。何も、あげられなかった。

「その気持ちは、わかるわよ?でも・・・・。」

「知ってるよ。昔のことも、ちゃんと考えてくれてるんだよね。」

その優しさが、

その気遣いが、

あたしには、たまらなく嬉しくて

たまらなく苦しい。

「母ぁさん、あたしどうしよう。」

「どうするって?」

「もう、あたし生きていけないかも・・・。」

瞬がいない毎日なんて

想像したくない。出来ない。

あたしはただ、母さんに

「どうしよう、どうしよう。」

と、泣きつくことしかできなかった。