「あんりちゃんっ。大丈夫ですかっ?」

「ん・・・?」

目を覚ましたら、そこは保健室だった。

「あんりちゃん、劉蟻君のこと・・・。」

「う、うわぁーーーーーーーんっ・・。ひっく・・ひっく・・。」

優衣の言葉も遮って、

あたしは大声で泣いた。

なんで、いなくなっちゃうのよ。

どうして、遠くに行っちゃうのよ。

瞬がいない毎日なんて

もう、考えられない。

「優衣、ここは俺が話すから。」

「き、桐君・・・。」

「お前達は、出といて?」

「わ、わかりました・・。」

保健室に、あたしと桐だけが残る。

「瞬、お前に何も言わずに行ったのか?」

「うん・・・・。」

「なんか、言われた?」

「もう、別れるって・・。瞬、あたしのこと、嫌いになっちゃんたの・・・?」

「ぜってーちげーよ。あいつも、苦しんでんだよ。俺は、知ってる。特別にお前だけに話してやる。」

そう言って、桐は話し出した。

「あいつさ、ほんっとに悩んでたんだぞ?

はじめに、サッカーのことで、監督に言われたときからずっと。

お前さ、恋愛で傷ついたことがあんだろ?瞬は、もうお前にトラウマを残したくなかったんだよ。

あいつ、言ってたぜ?

『俺が、あっちの高校卒業して、こっちの大学にもどってきたら、

あんりにもう1度、告白する。』

って。

だから、待っててくんねーかな?

大学まで、後2年くれーあるけどさぁ。

瞬は、あんりのこと忘れたことは、1度もなかったぜ?

もうお前には、悲しい思いしてほしくねーって、

俺のせいで傷つけたくねーから。

だから、1回別れるんだって。

お願いだから、わかってやってくれよ。」

桐は、あたしの目をまっすぐ見て

「あいつ、大学はここの高校の隣の進学大学行くんだと。だから、そこで待っててやれよ。」

と、言った。

「・・・話してくれて、ありがと。」

そう、思うのに。

ちゃんとわかってるのに。

あたしは、溢れる涙を、止めることができなかった。