季節は変わり２月になった。

もう、早いもので、バレンタインだ。

「はぁ・・・。どーしよ。」

「どうしたんですか？あんりちゃん。」

「あ、優衣。バレンタインのことよ。」

「もう、用意したんでしょう？」

２月１４日。

それは、女の子にとって、

１番大切な日。

・・かもしれない。

そう、このときのあたしには。

「もー。いつあげよう・・・？」

「もう放課後ですよ？今あげなくてどうするんです？」

「だよねー・・・。」

バレンタインの半日が、実はもう過ぎ去っているのだ。

彼氏といっても、

やっぱり緊張するもので。

当たり前だけど・・・。

チョコを手渡す勇気が、あたしにはありません・・・。

「優衣はもうあげたの？」

「はい。朝にあげましたよ。」

はぁ・・・。

恋愛経験、今まで０だったあたしが

そうそういきなりできるわけないじゃないっ！

「ほら、きましたよ？早くあげたらいいじゃないですか。」

「もーーっ。わかったってばっ。」

あたしは優衣に背中を押され、

瞬に話しかけた。

「しゅ、瞬？」

「ん？」

「こ、これっ。あげるっ。」

「俺に？」

コクコク、とチョコを突き出したポーズのまま

頷く。

「さんきゅ。ちょー嬉しい。」

「あ、あの・・・。」

「どした？」

「大好き、だからねっ・・・///」

「っ！」

瞬が、少しだけ驚いたのが、わかった。

「俺も、大好きだし。」

その瞬間、

あたしの身体は、瞬に抱きしめられていた。