もう君には恋はしない

「どうしたのっ?この部屋っ。」

「あんりと一緒に過ごすなら、いい部屋とりたいだろ?」

ドヤ顔で言ってくる瞬。

「ありがとっ!今日はお礼言ってばっかりねっ。」

「俺がやってやりたいんだよ。」

嬉しいっ。ホントに嬉しいっ。

“ありがとう”だけじゃ、伝わりきれない。

どうやったら、伝わるかしら?

「瞬っ!」

「んだよ?っ!うわっ!」

あたしは、瞬がベッドのすぐそこに立っていたのを確認して

ベッドに押し倒した。

「あんりっ・・・?」

「今日は、ありがとね。ホントね、嬉しかった。」

「どうした?改まって。」

「あたし、楽しかった。1番楽しい、クリスマスだったわ。」

今まで過ごしたなかで、1番。

そう、1番。

「んで?それはわかったけど。なんでお前は俺を、押し倒してんの?」

「えっと・・・。」

動いてみたはいいが、これからのことなんて

考えてなかった。

どうしよー?

「これじゃ、位置が反対だろ?」

「えっ?」

ニヤリ、と妖しく笑った瞬。

その瞬間

くるっと、いとも簡単に

あたしと瞬の位置を変えて、

あたしが押し倒されてるみたいになった。

「やっぱこっちがいいだろ。」

「えっと・・・。」

「ありがとうって言ってたろ?具体的に、なんかしてくれんの?」

瞬・・。

なんか期待してる。

「何かって?」

「あれ?わかんねー?俺に“お礼”ちょうだい。」

「お礼?」

「こーゆうこと。」

上から、瞬の顔が近づいてくる。

あたしはそれを抵抗なく受け入れる。

唇が、もう少しで当たりそうになって

「お前からして?」

と瞬の唇が動いた。