もう君には恋はしない

スプラッシュマウンテン前、にて。

ディズニーランドに行ったことがある人は

わかると思うけど。

めっちゃ込んでるのが、当たり前なのね。

でも、まだ朝早いせいか・・・。

アトラクションには、

まだあんまり人が並んでいなかった。

「並んでないよっ。瞬っ。」

「だな。早く乗ろう。すぐ乗れるだろ、これなら。」

「うんっ。」

あたしが、うきうきしながら

コースターに乗り込む。

「お前さぁ。」

「うん?何?」

「こうゆう絶叫系、大丈夫なのか?」

「うん。あたし、好きよ。」

意外?といわんばかり、瞬を見つめる。

「意外。お前、怖がりなのかと思ってた。」

「スリルがあるのはいいの。楽しいじゃない。」

「ホントかよ・・・。直前になって、怖いっ!とか言われてもしんねーぞ?」

「わ、わかってるわよ。」

そんなこと言われると、

怖くなってきちゃうじゃない。

瞬の意地悪っ。

「ほら、動きだしたぞ。」

瞬が言ったのと同時に、

ガタンガタンとコースターが動き出した。

まだ、どこから落ちるわけでもないのに

自然と肩に力が入って

ぎゅっと前にある棒をつかんでしまう。

「やっぱ、こえーんじゃん。」

「へ、平気よっ。」

「肩、思いっきり力入ってるし。」

隣に座ってる瞬が、そっとあたしの肩を撫でる。

「んなに力入れなくても、へーきだって。」

落ち着け、と言いながら

ポンポン、とあたしの肩を優しくたたいてくれる。

「落ちるときは、俺が手握っててやるから。」

「うん・・。」

優しいなぁ。

あたしは棒から右手だけ離して、

瞬の手をぎゅっと握った。