もう君には恋はしない

それから、

あたしと瞬は来たときと同じように帰った。

もちろん、

手を繋いで。

瞬の手は、

おっきくて、なんだか馴れない。

でも、ドキドキはするけど、

安心する。

・・・やっぱ、

こいつに会ってからのあたしはおかしいわ。

「あんり、着いたぞ。」

「あ、うん。」

「今日は、なんかぼーっとしてるな。熱でもあるのか?」

そんなことないわよっ!

と否定しようとしたとき。

瞬の顔が、

目の前にあった。

「んー?熱は、ねーか。でも、顔が赤いよな。」

「ちょっ!なに、するのよっ!」

「熱、測ってんだろ。」

「そんなこと、いきなりしなくても、いいでしょっ!」

あたしは、ぷいっと目を逸らして、

ドアを開けた。

「変な奴・・・。」

瞬も、苦笑しながら家へと入ってくる。

・・・これから一夜、

こいつと2人っきりなのよね。

・・・あ。

こいつ、

どこに寝せればいいのかしら。

余分な部屋もないし。

・・・どうしよう。

「あんりー?また、固まってるぞー?」

「ほぇっ?あっ・・!」

いきなり顔を覗き込まれて、

情けない声を上げてしまう。

び、びっくりするじゃないっ!

「お前、今日マジでらしくないぞ?」

・・・誰のせいだと思ってんのよ・・。

あれ?

なんで、こいつのせいで、

あたしらしくなくなってるんだろう?

・・わかんないや。

「ごめん。もう、大丈夫だから。」

瞬に、少し笑顔を向ける。

すると。

「俺の前で、無理してんじゃねーよ。」

と言って、

あたしの頭を撫でた。

・・・ちょっとだけ、無理して笑ったの、

なんでわかったのかしら?