もう君には恋はしない

がちゃ、と控えめな音がして、

扉を開く。

「リリアせんぱーい?いるんですか?」

「ここよー。」

声のするほうに、近寄っていくと

マイクの調子を整えているリリア先輩の姿があった。

「ツリーの飾りつけ、終わりました。」

「あ、ありがとう。じゃあ、歌の練習しといてくれる?」

「は、はいっ。」

歌っていうのは、あたし達が

クリスマスパーティで歌う、歌のこと。

ちょっとだけど、あたしの大好きな曲にしてもらったってわけ。

題名は『irony』

っていうの。

「じゃ、あたし体育館に戻ってますね。」

「うん。私も後から行きますから。」

いつもより少しだけ真剣そうな顔のリリア先輩を背に

あたしは放送室を出た。