もう君には恋はしない

「お前、なんで知ってんだよ。」

「詳しくは、知らないわ。でも・・・。」

「でも?」

「瞬のお母さん、あたしの母さんにそっくりだったから。」

「だからなんだよ。」

「だから、瞬もあたしとおんなじで、何かあったんじゃないのかなーって思っただけ。」

いつもより、少し焦り気味で

いつもより、少し悲しそうな瞬の瞳。

思い出したくない、って言ってるみたい。

「もう、すんだことだし。お前にはかんけーねーよ。」

「あるよっ。あたしは瞬の彼女だもん。」

なんで、無理するんだろ?

あたしを心配させたくないから?

あたしに・・・

悲しい話を聞かせたくないから?

「無理に話して、とは言わないわ。でも、出来ることがあったら何でも言って?」

「俺は、もう忘れたから。だから・・・。」

瞬は、そこまで言うと

すっと顔を上げて、何か吹っ切れたように言った。

「お前との恋愛を、一生大事にしたい。」

優しく微笑んで、

あたしを抱きしめる。

まるで、安心しろ。

っとでもいうように。

「お前の気持ちはうれしーよ?でも、俺はお前が大事だから。」

「・・・わかった。もういいわ、話してくれなくても。」

瞬は、前に進む道を、

自分で決めたのね。

あたしは、優衣達に話して

初めて、もう大丈夫だってわかったけど。

瞬は、ちゃんと自分でわかってるんだ。

「・・・気づいてくれて、あんがと。」

「えっ・・・?」

「桐だって、気づいてくんないことだったから。お前だけだよ。」

・・・そうだったんだ。

なんか、嬉しいわね・・・。

「瞬?」

「ん?」

「このまま、寝ちゃおっか?」

「そうすっか。朝、ちゃんと食えばだいじょぶだろ。」

「うん。」

抱き合ったまま、ベッドに入って、

目を閉じる。

今は、瞬と、瞬だけといたかったから。

あったかいぬくもりと、

瞬の匂いと、

2人の鼓動を感じながら。

あたし達は、眠りの闇に

落ちていった。