「おー。ちゃんと部屋はいってんじゃん。」

「瞬っ。」

がちゃ、という音に気づかなかったんだろう。

いきなりした、瞬の声に

ちょっとだけ驚いた。

「あのね、瞬。」

「ん?んだよ。」

「あたし、瞬を大切にするから。」

何言ってんだろ、あたし。

自分の中だけで決めとけばいいことなのに

なんで口に出して言っちゃうかなぁ・・・。

「は?」

「だから、瞬のこと離さないから。」

「・・・いきなりどーしたぁ?俺の母さんに変なこと言われたか?」

す、鋭いっ!

流石、瞬。よくわかってる・・・。

あたしのこと、何でもわかってくれてるのかしら・・・。

「『瞬のことをよろしくね』って。」

「後は?」

「『瞬の彼女になってくれて、ありがとう』・・とか?」

「っ//あのバカ。恥ずいこと言いやがって。」

ぎゃーっ!

素直に言っちゃったっ!

どーしよぉ・・・。

「だからっ!なんか辛いことあったら、あたしが聞くよって言ってんのっ!」

・・・。本音はこれ。

抱え込んで、欲しくないの。

苦しいのはあたしだって知ってる。

「瞬さ、過去になんかあったっしょ?」

「な、なんでそれを・・・。」

やっぱり。

この動揺のしかたは、

なにかあるわね。

探りたいわけじゃないけど、

でも、何かきいてあげたい。

ききたいの。

きいてもらうことで

楽になることもあるって、

優衣達が教えてくれたから。