もう君には恋はしない

すぐにわかるはずなのに、

あたしは一瞬、目を疑った。

公園でサッカーの練習をしている瞬の顔が、

あまりにも真剣だったから。

「・・普通なら、すぐにあたしに気づくはずなのに・・・。」

普通の時とは、

打って変わって真剣な表情。

いつもの瞬じゃ、

ないみたい。

「しゅ、瞬っ?」

「んっ・・?あ、あんりか。」

あたしが呼びかけると、

瞬はやっとあたしに気づいた。

・・あれ?

・・・なんであたし、

呼びかけたんだろう?

「こんな時間にどうしたんだ?」

「ちょ、ちょっと通りかかっただけ。そ、そろそろ帰れば?」

「なんで?」

「今日、夕方から、雨降るって。・・・あっ!」

あたしが言ったその直後。

ぽつん、と一粒の雫が、

空から落ちた。

「も、もう降ってきたみたい。」

「マジかー。俺、家遠いから、やばいかもな・・・。」

「そーなんだ。じゃ、じゃあさ・・・。」

「ん?」

「・・・あたしんち、くる?」


・・・あれ?

なんで、あたしこんなこと言ってんだろ・・・。