〔あんりside〕

試着室にて。

「お客様。よくお似合いですよ~♪」

「そ、そうですか?」

自分の姿を鏡で見て、首を傾げる。

「よかったら、持ってかえって欲しいくらいですよ。」

「そ、そんな。こんな高いもの、持ってかえれないです・・・。」

だって、着物って高いんでしょ?

これ、きらきらしてて、

ちょー高そうだもん。

「ついでですから、髪の毛とかもセットしましょうか?」

「は、はぁ・・・。」

「じゃあ、ここに座ってくださいっ♪」

「は、はい。」

大きな鏡がついたイスに座らされて、

あたしの後ろに、スタイリストさんみたいなのが立っている。

「どんな風にしましょうか?」

「に、似合うようにしてくださいっ。」

・・・それしか言えないでしょ。

だってどんな風かなんて、わかんないもん。

「わかりました。・・・きれいな髪をしてますね。」

「あ、ありがとうございます。」

確かにあたしの髪は長いけど、

きれいかどうかはわかんないわ。

長さは、腰のへんまであって、

猫毛だから、量は少ない。

んで、めっちゃストレート。


数分後。

あたしの髪は、きれーにセットされていた。

なんか、かんざしみたいなのついてて

アップになっている。

「こんなにきれいな方なら、また来て欲しいですね。今度はお友達も連れて。」

「あ、ありがとうございます。」

ここまで言われると、流石に照れるなぁ・・・。

「さっき隣にいたのは、彼氏さんですか?」

「は、はい。」

「きっと、見惚れますよ。」

「ありがとうございます。」

・・・恥ずかしー///

まぁ、似合わんこともないけどさ・・・。

でも、そこまで似合ってるとも自分では言いにくい。

「早く、見せてきたらどうですか?」

「は、はい。」

「京都、楽しんでくださいね。」

試着室から出て行くあたしを、笑顔で見送る

スタイリストさん。

あたしは、用意されていた下駄?・・・を履いて

外に出た。

〔あんりside.end〕