桜の花びらも舞いちり、4月の朝。

あたし、倉狩野あんりは高校生への第一歩を踏み出そうとしていた。

「いってきまぁす。」

間延びした声でそう云って、だるい身体を動かし、ドアを開けた。

わりかし近くにある名門高。

その制服を着ているだけで、目立つのは当たり前。

そんな学校に、あたしは今から通うことになるのだ。

目立つことを嫌うあたしにとって、それは胃が痛くなるくらい、嫌なことだ。

こんなことになったのにも、理由があって。

自分では、つい最近まで気づかなかったが、人の目を引く容姿。

なぜか、人よりよく出来る勉強。

普通の人がきいたら、羨ましがるであろう。

・・・でも、それはあたしにとって最大のコンプレックスだった。

容姿だけでちやほやされるばっかりで、挙句の果てにひどい恋愛も経験。

そんなの、もう嫌だ。

でもまぁ、そんなこと言っても、解決するわけじゃないし・・。

ってことで、思いきってこの高校に入ったのだ。

「はぁ・・・。今になって、後悔・・。」

この学校に入ったのは、あたし以外1人もいないし、

大体が中学から上がってきた人ばかり。

「ま、頑張りますか。」

こんな、あたしの前向きなとこは・・・。

嫌いじゃない。

そう呟いて、門をくぐった。