「………っな!」


カッと頭に血が昇って、無意識だろう。
手を振り上げて―――


―――パシン、


乾いた音が響いた。
手をあげられる、とは思ってなかったので少し驚いたけど、


「あーぁ。手を、あげちゃいましたね。」


叩かれた頬を軽く擦る。
ってか、令嬢さんって以外と力あるのねー。


「ふぅー。頭に血が昇りやすいのは致命的じゃありません?」

「なっ……!ぶ、無礼者っ!!」

また、手を振り上げて………。


「―――後ろ、見たらいかがですか?」


鋭く、言い放つ。
するとぴたりと止まる手。


「………っ、黙りなさい!」


後ろを振り返り、焦りを表して一瞥する。
お、おー。さすが令嬢!
一瞥で黙らせるなんて、もはや特技っ!


「この状況を周囲が見たらどう思います?」


ふわり、と変わらない笑顔で令嬢ずを見ると、顔色を変えて去っていった。


「お、覚えておいてっ!」


捨て台詞も忘れずに。