ハラリ と1枚の桜の花びらが舞い降りた。


その花びらのあとを追うように、また1枚、また1枚と花びらが舞い降りる。

まるで、空から降ってきた天使が、鬼ごっこでもしてるかのように。


「あ、私4組だっ」
「まぢ!?私7組…」


私…小倉美月は、この春で高校生になった。

周りには知らない顔ばかりで、ただ掲示板に貼られたクラス表を黙って見つめていた。

同じ中学校の子は、誰1人いない。

「せっかく同じ高校に入れたのに…」

隣に、カップルらしき2人の男女がクラス表を見にきた。

「大丈夫。休み時間会いに行くし、メールだってするしさ。」
「でも不安だもん。拓海が可愛い女の子に襲われないか…」
「それ俺の台詞だってー。もし綾が襲われたら…」

イチャイチャラブラブうっとうしいな。

でも、本当は少しうらやましい。

美月は、静かにその場から離れた。

美月のクラスは5組。

ちゃんと周りに打ち解けるのか、物凄く不安だった。

昨晩だって、不安すぎて2時間も寝れてない。

元々性格はハッキリしてる方で、決して根暗なわけではないけど。

中学の時に仲が良かった子達がいないと、なんだかとても不安になってくる。


美月はトボトボ教室に向かった。

「お前、待てよっ」
「やーだよっ」

廊下をバタバタ走る同級生らしき男子。

いいよな…もう打ち解けてる。

チラリと後ろを振り向けば、通り過ぎたばかりの男子がもう小さくなっていた。

と思ったら、今度は前から女子4人が楽しそうに喋りながら歩いてくるのが見えた。

私も混じりたい。
しゃべりたい。

そう思ってるうちに、女子もまた私の横を通り過ぎて行った。

はぁ

自然とため息が口から漏れる。

教室に着くと、既に8人くらいの子達が楽しそうに喋っていた。

私は静かに席を確認し、カバンを置いた。

するとポンッといきなり肩を叩かれた。

「ねえ、どこ中の子?良かったら話そっ」

振り向けば、そこには2人の女子が私に笑いかけてくれていた。


ショートヘアで若干つり目の子が星野優香。
長くてサラッとしたロングヘアの子が鳴海澪だ。

2人とは、少し話しただけで、すぐに打ち解けてることができた。