「優…。好き」



近付くな…



俺に、触るんじゃねぇ…っ。




ストレスで爆発しそうだ。





愛しの存在じゃなく、



俺にとって“不”でしかない存在が、まとわりついてくる。




香水臭いっ。



梓は、いつもシャンプーの良い香りがしたんだよな…。




その香りに、いつまでも囚われていたかった……。




「優…?」



誰が下の名前で呼んでいいと言った!?


誰が、そんな甘い視線を向けて良いと言った……!?




ムカつく…




加藤由紀にも、




そして、キスするしか選択肢のない自分にも……




チュッ…




俺はリップ音を数学準備室に響かせて、加藤……じゃなくて

“由紀”

を抱き締めた。