「それ、好きなの?」
 ゲーセンを出て、嬉しそうにナ●トのぬいぐるみを手に持つ彼女に聞いてみた。
「え……あー、うん。弟にたまたまこのマンガを借りて読んだら面白くて」
「そうなんだ。俺も読むんだ。面白いよね、あれ」
 内心ホッとした。そして、一瞬でも、もしかしたら彼女がヲタクなのではないかと疑った俺を、心の中でぶん殴った。
「あたし、こっちだから」
「うん。じゃあね」
 彼女はじゃあねと手を振って、帰路についた。
 俺は家へと帰って行く彼女の手にしっかりと握られているそのぬいぐるみから目が離せなかった。