ヲタク彼女

 今、俺の周りは男くさい。というのも今日は男だけで遊びに来ているからだ。
「次どこ行く?」
「カラオケとか?」
「バカ、カラオケはシメだろ」
 この気を張らなくていい感じが男同士のいいところだと思う。
「とりあえず飯食わねー?俺腹減った」
 そう言われると確かにおなかが空いていた。おなかが空いていたことにも気付かないくらい夢中で遊んでいたのだ。
 そこで俺たちは近くのファミレスに入ることにした。
 図体のでかい男たちがわらわらとファミレスに入るのはなんとも可笑しな光景だ。その場にいた家族連れやらカップルやらが少し驚いた顔で俺たちを見ていた。
 席についた俺の目にはいったのは、俺たちの席から少し離れた席にいた彼女だった。
 かけようとした声が喉の奥で止まった。 向かいの席には男がいた。
 彼女はその男と楽しそうに談笑している様子だった。
 ただの友達だ。そう思って黙っていればいい。でも、できなかった。心が狭くなった今の俺にはそれができなかった。
 俺は立ち上がって、彼女がいる席へと歩き出した。