「……ケガだったんだ。練習のしすぎで膝壊してさ。医者にもうサッカーは無理だって。それが試合の直前だったんだ」
 俺は言い訳にならないよう、なるべく長くならないように簡潔に話した。そんなことを考えながら離している時点で、もう言い訳っぽい。
「……なんで言わなかったんだよ」
 祐二が頭を垂れたまま聞いた。
「だって、ケガしたのは管理がなってない自分のせいだし、言ってもただの言い訳にしかならないだろ」
 俺がそう言うと、祐二がいきなり立ち上がった。
「……それでも」
 そして、俺の方を向いて、俺の胸ぐらを掴んだ。
「たとえそうだとしても言えよ!……俺には言ってくれよ」
 祐二が絞り出すような声で言った。
 その時俺はようやく気付いた。自分一人で抱え込むことがどれだけ他人に心配をかけるのか、その人の気持ちをどれだけ裏切るかを。
「……ごめん」
 本当にごめん、祐二。