帰りにたまたま朱音ちゃんと玄関で会って、今、2人で帰ってる途中だ。
 本当ならウキウキのはずの帰り道なのだが、昼間の話のせいでドキドキだ。
「でね、その子がねーー」
 彼女は隣で楽しそうに話している。
 こうして見る限りでは、彼女が俺に不満があるようには見えないんだけど……
「あのさ!」
 俺は心を決めた。
「朱音ちゃんさ、俺と付き合ってるの、嫌だったりする?」
 俺のいきなりの発言に、彼女は豆鉄砲をくらったような顔をしていた。が、その顔がだんだんと怒りに満ちていくのがわかった。
「それ、本気で言ってんの」
 ヤバい……
「いやっ、そうじゃなくて」
「じゃあ、どういうこと。ねえ!」
 怖い!
「だから……その……」
 ふと彼女の顔を見ると、さっきまでその表情には怒りが見えていたのに、今度は泣いていた。
「……今日は1人で帰る」
 そう言って、彼女はスタスタと1人帰ってしまった。
「ヤバいな……」
 こっちが泣きたくなった。