「今朝、また見ちゃった」
「ああ、朱だろ?」
 彼女は今日も男子たちの話の中心だ。
「でも振ってたよな」
「まぢ!?」
「まぢまぢ。なんかさ、他に好きな奴いんだって」
「うわっ、ショック」
「何、お前。狙ってたの」
 そして今日もモテモテだ。
「いや、男なら誰でもそうだろ、なっ、聖二」
「えっ、ああ、そうだな。でも俺には高嶺の花だよ」
 そうだ。俺は彼女に近付くこともできないほど、彼女は遠い。
「俺もだー。だって今朝告ってたのってサッカー部のキャプテンだろ?」
「そうそう。祐二な。あいつが振られるんだぜ。俺らじゃ無理だよ」
 振られた祐二は二年の時から次期部長として期待され、常に試合に出場していた。年がら年中浮いた話しか耳にしなく、振られたなんて聞いたことがなかった。
「春日 朱音、やっぱり手ごわい」
 春日 朱音は今日もモテモテだ。