「……まあ、でもアレっすよ」
黒の集団が身動きひとつとらない中、山田は俺の目の前に立つ。
まるでそれは、俺を庇うように、いや。
「そんなマジないわー的な主さんでも」山田は言う。「“従者は”護らなくちゃいけないわけっすよ」
――そう、護るように。
黒の集団が武器を取り出す。
それはすべて銃だった。
銃口の向きはもちろん、山田。
逃げろ、と言いたかった。
これじゃ勝ち目なんかない。
あるのは負けと、死だ。
けれど声が出ない。動けない。
……あぁ、バカみたいに情けない。
「いいんすよ嵐さん、特に何もしなくても」
そんな俺の心情を読み取ったように、山田は静かにそう言った。
こちらは見ない。一度たりとも。
いいわけあるか、と叫びたい。
動けないことがここまで悔しいとは、思わなかった。
「嵐さんはそこで一休みでもしといてください」
そうして続けられる山田の言葉は、俺の悔しさすら、いとも簡単に打ち砕いた。
「――わたし、一回くらい、嵐さんの役に立ってみたかったんすよ」
アホか、と言ってやりたかった。


