隣の彼女がメイドだったんだけど。





地面に倒れ込む。

すぐさま起き上がろうとしたが、体に力が入らない。

後頭部を殴られたからか、いや、それだけではないだろう。

何か不可解なもので衝撃を与えられたに違いない。

視界が霞む。が、意識だけは飛ばなかった。


霞んだ視界に複数人の足が映る。

やはり相手はひとりじゃなかったらしい。

顔は暗闇と悪い視界のせいで認識できなかったが、性別は男女ともにいるようだった。

全員黒の衣服をまとっている。

それがスーツなのかなんなのか、残念ながら今の状態では判別できない。

意識は朦朧としていた。


「……るよ……?」

「……ろって……たし……」

「……って……ない……」

「……もう……るか……」


はっきりしない意識の中、黒の集団が何やら話している声が聞こえてくる。

まったくといっていいほど聞き取れないが、相談でもしているような様子だった。

一体何が目的で俺に奇襲してきたのかわからない。

金だろうか、それしか思いつかないけれど。


しばらく黒の集団の声が聞こえていたが、不意に何やら、機械めいた音が聞こえてきた。

実際に聞くのは、これが初めてのことだった。


拳銃に弾を込める音。


よく見えなくても音で判断できるのは、映画のおかげかもしれなかった。

たまには役に立つもんだな。

なんて、この状況下に似つかわしくない思考。