朝っぱらから親子喧嘩とも言えないような会話を繰り広げることになり、しかも返された言葉が投げやりの一言だ。

これで不機嫌にならないヤツが居るだろうか。

少なくとも俺は、不機嫌にならない方がムリだと思う。

このイライラをどこにぶつければいいやら、それすらわからずにパーティーなんつー行事に参加するのは、面倒くさいを通り越して心底億劫だった。



「……ま、俺には関係ないけど?」


宮埜は右手の平で顎下をささえ、横目にこちらを流し見た。


「あんまり悪い方向に考えるのは、良くない」

「……どういう意味だ」

「そのまんまさ」


フッと笑って、宮埜は顎杖をやめ、椅子の背もたれに寄り掛かった。

その態度がヤケに癇に障るというか。

俺は宮埜から視線を外したまま、ぼそりと。


「……お前にはわからない」


ヤツは俺の悪態など、さほど気にも留めなかった。


「あぁ、わからない。わかったところで、面白味もなさそうだからね」


そう言って、宮埜はわざとらしく両手を持ち上げ、呆れた様子をして見せた。


面白味もない。

確かにそうだろう。

ただのどこにでもある、家庭内事情ってヤツだ。

そんなものを他人が知ったところで、なんのネタにもならないわけで。

……まあ、だからなんだって、話だ。