隣の彼女がメイドだったんだけど。





「絨毯の上とベッドとどっちがいいっすか?」と山田が俺を引っ張りながら聞いてきたので、どうせ寝るなら完璧に眠れそうなベッドがいいかと思いそう答えると、「りょうかいっすー」と言いながらベッドにダイブした。

腕を引っ張られていて、しかも現在抵抗力皆無の俺は、それにもろとも巻き込まれる。

コイツマジで俺が今眠くもだるくもなかったら絶対どうにかしてやっている。

その“どうにか”すら今は思いつきもしない。

ダメだ、まったく。


あくびを噛み殺し、ダイブしたおかげで斜めに寝転ぶことになったベッドの上、無意識に丸くなろうとすると、またもや山田にくいくいと引っ張られた。

振り向くと、山田は何故か、ベッドの上にも限らず正座をしていて、しかも何故か、自分の足をパシパシと叩いている。

何故か、という単語が二度もつくほどに、俺はその行動が理解できなかった。


「ほい、嵐さんここ」

「……は?」

「は?じゃなくてっすね」


山田はもう一度、自分の足を叩いた。


「ここ、どうぞっすよ」

「……いや、意味わかんねぇし」

「もーマジないわー膝枕してやんよって言ってんすよー」


マジないわーとかお前に言われたくねーよ。

マジないわーなのはお前の方だろ。

なんで膝枕してもらわなきゃなんねぇんだよ。っていうかなんでこの状況下で地味にそういうの誘ってんだよ。ふざけんな。

自分が今眠さとダルさに勝てないことが、心底悔しい、ような。


「へい、嵐さんいいんすか。メイドの膝枕とか激レアっすよ。世の男性がどれだけ願っても滅多なことじゃできないメイドの膝枕っすよ。今なら無料な上に読み聞かせがオプションでついてくるんすよ。いかがっすか」

「お前はテレビショッピングの見すぎか。」