隣の彼女がメイドだったんだけど。






しばらくすると、山田が「へいお待ち」とかなんとか言いながら、遅めの朝食を運んできた。

注文通りのパンと、ハムエッグだ。

ホテルでも出るような盛り付け方なのは、さすがというべきか。

山田は出来がいいのか悪いのか、いまだにはっきりしないヤツだ。


「これでどうっすか」

「よくできました」

「うわー上から目線っすわー」

「黙れ。黙ってそこ座ってろ」


手に持ったフォークで目の前の席を指し示す。

山田の表情がげんなりしたものに変わった。


「えーヤダっすよ」

「黙って座れっつってんだろ。」

「人に朝ごはんまで作らせといてこの人マジないわー」

「あ?」

「わたしこれから書庫の掃除の続きしに行くんすよ」

「お前に拒否権はねぇよ。」


言い切ると、山田は「暴君っすか。暴君気取りっすか。しょけいしたいっすわ」とかぶつくさ言いながらも、俺の指し示した席にすとんと座った。

なんだかんだ言いながらも、人の言うこと聞くには聞くから、これも出来がいいのか悪いのか。

っつーか、しょけいしたいっすわ、とかメイドの言うことじゃねぇだろ。

思いながら、料理を口に運ぶ。

ふざけてるくらい美味い。


「あーこうしている間にもわたしの本たちが埃まみれになっていくんすよ悲しい世界っすよ世界は無情っすよ」と、テーブルに両手で頬杖をつき、見えないけど足をプラプラさせているんだろう山田。

口を尖らせて、不満極まりなさそうにうざいけど。

誰かが一緒のテーブルについているってだけで、なんとなく。


いや、やっぱなんでもない。