隣の彼女がメイドだったんだけど。





「なんで食堂行くだけに時間かかんだよ」

「嵐さんが余計なことするからっすよ」

「どう考えてもお前のせいだろ。」

「わたしはただ大理石が汚れてるのが悲しくてきれいにしてあげようと」

「お前の大理石への愛はもはや尊敬に値するわ。悪い意味で。」

「いやはやそれほどでも」

「褒めてねぇよ。」


モップを両手で握り締めていまだに視線をちらちらさせている山田、の、後ろ頭をわっしと掴んで歩く俺。

なんでまっすぐ歩くことすらできねぇんだコイツ。

もうため息すら出尽くしたような気さえしてくるレベルだ。


ようやく食堂に辿り着き、厨房へと山田を放り込んだ後、俺はテキトーに椅子へと腰掛けた。

ここに来るだけでこんなに体力、というか気力を使うことがかつてあっただろうか。

いや、なかったな。少なくとも山田が来るまでは。

埃ひとつない清潔なテーブルに頬杖をつき、息をついたところで、厨房に放り込んだはずの山田がひょこりと顔を出した。


「嵐さーん、どんくらい食べます?」

「軽くでいい」

「へーい」


気の抜けるような返事をして山田は引っ込んだ、かと思えばまた顔を出した。


「あー、あとごはんとパンと麺どれがいいっすか?」

「どれでも」

「じゃあ全部っすね」

「パンでいーよ」

「あいよー」


どれでも、とかなんでも、というのが嫌なのはわかっているが、なんでそこで全部と言う選択肢に至るのか謎だ。