俺が指摘した本の山は、145センチあるかないかの山田の腰上まで、余裕で積まれていた。
それをひとりで抱え、運んでいたとなると、俺が開けたドアに華麗なクリーンヒットをかましても無理はない。
まず前が見えないだろ。確実に。あと重いだろ。絶対。
山田が不審そうな顔になっているところ、俺はため息もそこそこに、山田が抱えようとしている本の山を半分以上奪い取った。
フツーに持てるが、超軽いと言えるわけでもない本の山。
全部持っていなくても重いと感じるこの量だ。
「お前よくこれ、ひとりで抱えて歩いたな」
「ちょゆうっすよ」
「ドヤ顔で宇宙語しゃべんな。」
「超余裕っすよ」
「ドヤ顔で日本語に訳すな。」
「ちょべりば」
「は?」
山田は半分以下になった本を、よいしょと持ち上げ、ふむと抱える。
一瞬時代錯誤も甚だしい単語が聞こえたが気のせいか。
本を抱えた山田は、ちょうど口元が本の上から出る格好になった。コイツ小動物か。いじめたい。
あーホント、山田がもっと単純で簡単なヤツだったら楽だったに違いない。
どうやったら落ちんだよ、マジで。
っつーことを考えている時点で、俺はらしくない。
ある意味山田に振り回されているのか、否か。
もしそうだとしたら、たぶん絶対故意じゃないから、コイツは逆に厄介だ。
それが面白いんだと言えば、まあ、それも一興。
「嵐さん嵐さん」
山田が呼ぶ。振り返り見下ろすと、山田は何故か俺と部屋のドアを交互に見やっていた。


