「……おい」
声をかけつつ、しゃがみこむ。
山田の前髪を指で掬い、どれくらい激しく打ったのかを確認しようとすると、額を押さえていた山田の手が、髪を掬う俺の手を掴んだ。
おかげで額の様子が確認できる。派手に真っ赤だ。
どうやったらこんだけ激しく打ち付けるんだろうと思いながら、山田の小さい手を握り返して立ち上がりざまに引っ張る。
山田はよろよろと立ち上がり、両足を床につけると、ため息のような息を吐いた。
ため息をつきたいのは俺の方だ。
「はあー……ないわーマジないわ嵐さん」
「何がだ。」
「いきなりドア開けるとかマジないわー」
「お前がドアの向こうに居るとかわかるかよ」
「そこはわかってくださいよ。主なんすから」
「その主が起きたかどうかも把握できてないからドアの前に普通に居たんだろうお前に言われたくねぇよ。」
「あー、そういえば起きてますね嵐さん。おはざまっす」
「今更かよ。……おい無表情で敬礼すんな。」
額を真っ赤にしていることなどお構いなし、とでもいうような山田。
本人は気にも留めてなさそうだが、見ているこっちが笑えてくるのでさっさと治せ。
っつーかそう、おはようで思い出した。
「山田、なんで今日起こしに来なかった」
「えー、だって今日日曜日じゃないっすか」
「日曜日は起こしに来なくていいとか俺言ってないけど」
「わたしがイヤですしおすし」
コイツホントにメイドか。