隣の彼女がメイドだったんだけど。





ギリリ、と音が聞こえそうなほどに、胸ぐらを掴み上げる。

けれど目の前のクソヤロウは、顔色ひとつ変えない。

顔色ひとつ変えずに、俺を躊躇なく見ていた。

歯を噛み締める。

噛み締める。

折れそうなほど噛み締めた。


「……いい加減にしろよクソ親父…ッ!」


吐く。吐き出す。

クソ親父は何も言わない。

それが余計に、癇に障った。


「……お前は、どんだけ…」


息を、吐き。

息を、吸った。



「――お前はどんだけ、家族無駄にすりゃ気が済むんだよッ!!」



叫んだ。

これでもかというほどに叫んだ。


お前のせいで。お前のせいでお前のせいで。

お前のせいで、母さんは死んだんだ。



――とんっ。


突然、首の後ろを誰かに突かれた。


……あ。


思った時には、すでに意識は飛んでいて。



倒れ込む俺を、親父がしっかりと受け止めた。

ような気がした。