それでも、目の前に座るコイツは微動だにしない。
数多の試練を味わってきただろう親父にとっては、今の俺などガキが癇癪まわしてるようにしか見えないんだろうな。
どうせガキだ。
16、7のガキだ。
親父の年齢を超えることは出来ねぇし、コイツが味わってきた試練なんか、俺にはとうてい味わえねぇんだ。
だから怒りをぶつけることくらいしかできない。
それもとうに、理解している。
「……今更お前、なに父親ぶってんだよ…」
「私はお前の父親だからな」
「最後に顔合わせたのがいつかも覚えてないようなヤツがか…?」
「そうだ」
あっさりと認める。
何を言っても動じないんだろう、コイツは。
この、クソ親父は。
「嵐、お前も来年は18だ」
「…………」
「そろそろ、きちんと道を進むべきだ」
「…………」
「共に進む人を考えながらな」
親父はジッと、こちらを見据えている。
俺は断じて、目を合わせようとしなかった。
共に進むヤツなら、とっくに決めている。
大理石をバカみたいに磨くヤツだ。
屋敷で迷子になってせんべい食ってたり、雨の中を傘もささずに走って居るようなヤツだ。
態度も口調も最悪なのに、どうしてか憎めない、そんなヤツだ。
自分でもバカじゃねーのかと笑ってしまうくらい、ハマってるヤツが、居るんだよ。


