隣の彼女がメイドだったんだけど。





「……嵐、お前は久宮家の跡継ぎだ」


今更なことを、コイツは仕事の説明をするような口調で言い放つ。

それくらいわかっている。

この家系がどういう家系か、誰に教えられるまでもない。

ガキの頃なら、言われなければわからなかっただろう。

どこかで薄々感じとっていたとしても、きちんとしら理解は示せなかっただろう。

けれど今は違う。

とっくの昔に、自分の役目はわかっている。

なのに言うのか。わざわざ。コイツは。



「……あんたの中に居る俺は、一体何歳で止まってる…?」


笑い混じりにそう言った。

親父は考える素振りも見せず、「さあな」と答えた。


少なくとも、コイツの中で生きている俺は、16でも17でもない。

まだまだ物心ついていない頃の、ガキの頃に違いないのだ。


「……言っとくけどな、俺は今年で17だ」

「それは知っている」

「17が、どんな年かも知ってるか?」

「私も通ってきた道だからな」

「だったら口出しすんなよ」

「そういうわけにもいかない」


ガンッ!

テーブルを、思い切り蹴った。

ガシャッと騒がしい音が響き、コーヒーの入ったカップが派手に揺れる。

一口も飲んでいないコーヒーが、ソーサーに零れた。