「やーちょうどよかったっすよー。雨激しくなってたんで」
「そりゃよかったな」
「っていうか嵐さんなんでこんなとこ居るんすか?」
「……さあ、なんでだろうな」
「車はいずこ?」
「先に帰した」
「嵐さんたまに謎な行動するっすね」
「お前にだけは言われたくねーよ。」
いつも通りの会話が流れる。
同じ傘の中だと、声は不思議とよく聞こえた。
きっと別々の傘だとこうはいかない。
これを相合傘だ、とか言わないが、少なくとも、会話を繋げるために同じ傘に入りたくなるんだろうな、と思った。相合傘するヤツは。
自分でも謎な行動だと思った。
わざわざ車から降りて、傘をさしているなんて。
山田が傘をささずに走っている姿を見つけた途端、思考より先に体が動いた。
バカじゃねーのと俺も思う。
今まで俺があしらってきたヤツ等が見たら、指を指して笑いそうだ。
「はあー。びっしょびしょっすよー」
山田は自分のメイド服をはたいたり、裾を掴んで絞ったりしている。
そのたびに、ボタボタと大きな雫が落ちた。
「……っつーかお前、傘どうした」
「あー、今日忘れたんすよ」
「はあ?」
「てへぺろっすよ、てへぺろ」
「じゃねーよお前……朝自分で言ってただろ、1日中雨だって!」
「あ、そうでしたっけ」
すっとぼける山田の頭をガッと掴み、ぐしゃぐしゃにしてやった。


