ピタッ。
周りに座っていた女子生徒のすべてが、示し合わせたように行動を停止した。
それから一斉にこちらを向く。
その瞳がキラキラと輝いているように見えたのは、たぶん俺だけではないはずだ。
「はい!なんでしょう!」
「なんでも聞いてください!」
「私たちの知っていることならば、なんでもお答えしますわ!」
身を乗り出すようにして、全員が熱意のこもった瞳を向ける。
……追っかけてきたり付きまとってこなければ、普通にいいヤツ等なんだろうけど。
複雑だ、と思いながらも質問を口にした。
「……天文台って、見たことあるか?」
その質問を言い終えるや否や、またしても全員が一斉に困った表情を浮かべた。
隣の生徒と相談するようなそぶりも見せる。
「……その、天文台は、あの」
「噂の天文台のことでしょうか?」
「……あぁ」
「それは、申し訳ありませんが、私たちも……」
「噂は聞くのですが、実際にお目にかかったことはございません……」
やっぱりか、と引きさがる。
もともと噂なのは知っているし、実際に見たことがあるというヤツも聞かない。
俺は「そうか」とだけ口にして立ち上がり、テーブルに背を向けた。
「お力になれず、申し訳ありません!」
後ろから追いかけてくるそんな声に、右手を軽く持ち上げて返事した。
直後にキャーキャーという黄色い歓声が上がったので、やっぱしなけりゃよかった。


