「そういえば、もうすぐ聖凰パーティーですわね」


年に一度しか聞かない単語が、耳をつく。

聞いていない内に、話題が変わっていたようだ。


「そうですね!」

「今年はどんなものになるでしょうね」

「私、もうドレス決めてしまいました」

「あら、気が早いわ!」


彼女等は言いながらくすくすと笑う。

昼飯がまったく進んでいない。


聖凰パーティーというのは、年に一度行われる行事のことで、敷地内にある巨大なホールで開催される。

本校と育成科の真ん中にあるホールは、こういう行事がある時にしか開放されない。

パーティーは両校が合同で行うもので、本校は振る舞いやコミュニケーション、育成科はどれだけ粗相なく働けるか、そういう日頃の成果を見せる場でもある。

去年ももちろん開催されたので知っているが、簡単に言うとヒマだ。

できれば参加したくはないが、強制なのでしかたない。

まあ授業はなくなるし、参加したことだけ認められればあとは各自勝手に帰れるし、まあいいか。


そういえば山田は、このこと知ってたっけか。

何も聞いてこなかったし、知ってるのかもしれないが、山田のことだから微妙なところだ。

天文台についてもよく知らなかったっぽいし……。

あ。



「……ちょっと聞いていいか」


不本意だが、思わず口を開いてしまった。